内装解体とは建物自体の解体ではなく、建物の一部を解体することを言います。

ビルや百貨店などのテナントが賃貸契約を終えて明け渡す際には

内装材の全てを解体してコンクリートむき出しの状態に戻します。

解体後の購入者が決まっている場合や契約上、厨房など必要な部分を残すケースもあるので、

ケースバイケースの対応が必要になります。

この内装解体の流れを解体前から工事、

解体後までの流れを順に説明しながら注意点を解説していきます。

内装解体前の手順

・借主・貸主との打ち合わせ

内装解体は自らの所有ではないことから

貸主・借主・近隣の住民および店舗など多くの立場の人達に関わることになるので、

初めに念入りな打ち合わせでの確認が最も大事な事項です。

今回は分かりやすいように貸借人が依頼主である場合について説明していきます。

・現地・近隣調査

解体業者が決定したらまず現地調査から始めます。

図面上で伝わらない事項、解体してみないとわからない事項などが多々ありますので、

内装解体専門の業者が確認することが重要です。

予定外の工事が発生しないようにしっかりとした調査をすること、

店舗エリアの営業時間、搬出経路などを確認して

工事を行う際に支障のない段取りをすることが重要です。

・近隣住民・店舗等の周辺への挨拶

近隣の状況を把握すること、工事の内容を理解してもらうために

業者と共に、近隣への挨拶に回ることが必要です。

営業中の騒音・振動や搬出経路での汚れ・埃など近隣への迷惑になることは

営業に支障をきたすことになりかねないので

工事の内容・期間・時間帯などを十分説明して調整を行い

了解をもらった上で内装解体工事の段取りをすることが重要です。

・残留物等の撤去

解体工事が始まる前に、解体する店舗内に残っている全ての家具や什器などを撤去します。

撤去作業は解体業者に依頼することも可能ですが、

自らリサイクル業者などを呼んで撤去することも費用節約の面でも合理的と言えます。

特に家電リサイクル法の対象となる家電などは業者での処分が安価になります。

・インフラ等の停止

残留物の撤去が済んだら、

ガス・水道・電気・電話など全てのインフラを停止して各契約会社に連絡します。

ここの契約に関しても事前に貸主に連絡して停止の有無を確認する必要があります。

工事中に電源を工事業者が使用する必要がある場合などもあるので注意が必要です。

解体工事

・足場・養生などの設置

工事では発生する粉塵などが近隣に被害を与えないようしっかりと養生する必要があります。

また、搬出経路にあるエレベーターや階段など共用スペースなどは

近隣や店舗へのお客さんなどが利用する場合もあるのでしっかりと養生する必要があります。

・内装材の撤去

養生が終わりましたら、まずクロス・電線・ガラス・ドアなどを撤去します。

特にクロス撤去の際には粉塵に注意する必要があります。

電気工事に関しては蛍光灯や安定期との分別などが重要になります。

また、ドアなどは次に使用する場合もあるので傷つかないように養生した上で

貸主に変換する場合などもあるので注意が必要です。

内装解体後の手順

・産業廃棄物の処理

解体工事で発生した廃棄物を搬出して適切な方法で処分します。

廃棄物は「マニュフェスト」という産業廃棄物管理表を内装解体業者に提出してもらって

適切に廃棄物が処理されたことを確認することが重要です。

廃棄物を不法投棄したり、敷地内に埋めてしまったりする悪徳業者もいますので必ず確認しましょう。

マニュフェストとはそれぞれの産業廃棄処理の流れを記録したもので

廃棄物の種類・数量・運搬業者名・処分業者などが記載されています。

・清掃

内装解体工事がきちんと行われたかどうかは

清掃がきちんとされたかによって大きく印象が変わりますし、

貸主にとっても次の借りてを探す上で重要な事項です。

清掃まできちんと行える業者を選定することも重要事項です。

内装解体はケースバイケースなので事前の段取りによって流れが大きく変わります。

最も大事なのは近隣への配慮や次に借りる人への気遣いと言えるでしょう。